OB・OG訪問 vol.6(37回生:平澤彩さん(姉・写真左)と平澤梢さん(妹・写真右))

●編集前記

今回は37回生の平澤彩さん(姉)と平澤梢さん(妹)の双子インタビューです。現在、彩さんは双葉社の漫画アクションで編集部のお仕事を、梢さんは宝島社で雑誌『SPRiNG』の編集長としてお仕事されています。お二人は、高校・大学共に同じ場所で勉学を修め、社会人になっても同じ出版業界にて活躍されております。初対面のスタッフは会う直前まで、「どんな方が来られるのか」、「初めてのインタビューなのでうまくいかなかったらどうしよう」と不安でいっぱいでしたが実際お会いすると、二人とも優しくて明るく、終始楽しいインタビューとなりました。

※当日は白金高輪にある白金タワーで、東京タワーとスカイツリーが一望できるゲストルームにて行いました。


平澤彩さん(姉)と平澤梢さん(妹) 1

(注:Q=同窓会スタッフ)

PART 1: 千種高校の自由な校風とディベートができる環境の中で

Q:高校時代の思い出、千種で得た事は何ですか?

梢さん:もともとファッションが好きだったので、自由な校風で髪色やピアスなど、オシャレを楽しめるのが魅力的でした。高校時代はアルバイトをして、服や、ファッションにお金を使っていました。この頃から東京に行き、早く働きたいという願望が強くありました。

彩さん:バイトができる環境で、お金を貯めて、自分の好きな事ができた点で、千種で良かったと感じていました。また、全日LTなどクラスでディベートする機会があったので、そこで自分の意見をきちんと言う基礎が出来たと実感しています。自分の意見を言い、認められ、人の考えに影響を与えることに楽しさを覚え、それが現在の編集の仕事に役に立つ力を得るきっかけになったと思います。

Q:大学の進路決定時に、出版業界の志望意思はありましたか?

梢さん:その頃からうっすらと意識していました。映画や本、雑誌などのクリエイティブな仕事に興味を持っていて、専門学校の見学にも行っていました。

彩さん:出版という仕事は頭にはありました。高校2年生の夏頃から進路について考え始め、当初は臨床心理士や、イルカの調教師など幅広い分野の中で凄く悩んでいました。高3の途中から出版社と、心理学に興味が湧き、早稲田大学文学部であれば両方が勉強できると思い志望しました。

Q:大学に入学してから、どのように就職先を決めましたか?

彩さん:大学に入ってからは、当初の目標を忘れて普通に遊んでいましたが(笑)、就職活動開始と同時に「本当は自分が何をしたかったか」考え始め、今の職を選びました。

梢さん:ファッションや本にまつわる仕事がしたいというくらいに漠然としていました。3年と4年の間の1年間休学し、オーストラリアでワーキングホリデーをしていた際、日本人向けの日本語新聞の編集部でインターン生として働いていました。帰国してからはすぐに就職活動だったので、興味のあったファッション誌などの出版社、映画会社を受けていました。
新しいことが好きで面白そうな事は何でもやってみますが、飽きっぽい性格だった為、流行を追う雑誌に向いているのではないか、と考えました。また高校時代にファッション誌を沢山読んでいて、それが自分の中で心踊る時間だったので、出版の中でもファッション誌を選びました。

Q:高校、大学、業界まで同じ進路のお二人ですが普段はどのような事を話していますか?

彩さん、梢さん:やはり頻繁にあっています。インタビューの前日も会っていました。お互いが携わった漫画や雑誌も読んだりします。同じカルチャーの中で育ってきたので、興味関心が似ていて、悩んでいるときには意見を交換する相談相手でもあります。高校時代は好きな人が被ったりもしていました。(笑)


平澤彩さん(姉)と平澤梢さん(妹)2

PART 2: 仕事において葛藤はつきもの、その中で自分らしさを追求していく事でやりがいを感じている

Q:出版のお仕事でやっていて楽しいことはなんですか?

梢さん:好きなファッションの最前線に居られることです。毎シーズンの展示会で好きな服が割安で買えたりすることも単純にうれしいですし(笑)、可愛いビジュアルが撮れるとテンションが上がります。また、ページの構成である「ラフ」を考えることや、次にブレイクしそうな人や関心が高まっていることを見つけて、世間に提示していくことは楽しいです。悩みますし苦しいのですが、これをもっとこうすると面白いかな、ということを考える事が楽しさでもあります。

今は編集長なので、適材適所で人を配置することが今後の目標です。自分がやりたいものの方が、知識もあり、本人のやる気を引き出せると考えるからです。

彩さん:自分が携わった漫画が人気になってコミックスが売れたり、読者の方から感想をもらったときにやりがいを感じます。また漫画家さんと一緒に物を作る感覚、というのも面白いです。

 

Q.編集長になる不安などはありましたか?

梢さん:編集長には、前編集長から指名していただいてなったのですが、当時30歳で入社4年目。まだ編集部の中でも若いほうでした。その頃、自分のスキルに自信が持てなくてつねに焦りを感じていたんですが、そんな中で指名して頂き、実は評価されていたことを知り、新しいことへ挑戦する事にしました。

 

Q:漫画の編集とは実際にどのようなことをされるのですか?

彩さん:漫画家さんに連載企画の声を掛け、話の内容やベースを一緒に考えます。セリフと簡単な絵を描いた「ネーム」というものをつくり、編集長の許可が出て、連載が始まるという流れです。連載が続くと単行本になります。連載中は漫画家さんと次の話に向け打ち合わせをし、「ネーム」の修正や打ち合わせ等を日頃行なっています。漫画の内容によっては、参考になりそうな場所に取材に行き、材料集めをしたりします。

Q:仕事での苦労等あれば教えてください。

梢さん:たくさんありますよ(笑)。編集長という立場で自分の雑誌としてのこだわりと、会社の指針がある中でどう折り合いをつけていくのか等。年上年下を含め、人をマネージメントする難しさも感じています。
20代での過ごし方は凄く重要で、20代で伸びない人は30代でも伸びないと教えられていたので、20代の頃はがむしゃらにスキルをつけようと頑張っていました。どこの会社にも求められるような、一人でも生きていく力をつけるために。その経験が後々力になったと感じています。

彩さん:漫画の編集の前は、私もファッション誌の編集をしていたのですが、同じように、その時代は辛いことも多くありました。よく怒られましたが、今は吸収する時期だと思い、遊びたいとか休みたいという気持ちを抑制し、休日も先輩の企画書の研究などをしていました。今となってはいい経験をしたなと思っています。

 

Q:これからやってみたいことはなんですか?

彩さん:まずは人気漫画と言われるような作品をたくさん作りたいです。あとは、編集長を一度はやってみたいです。自分の考えで、雑誌を一つ動かしてみたいと思っています。

梢さん:『SPRiNG』をもっと人気のある雑誌にしたいです。後は、編集部員が働きやすい環境の構築と、WEBと雑誌が共存するいいシステムの構築もしていきたいです。ゆくゆくは創刊編集長をやって、新たなジャンルの開拓がしてみたいです。


PART 3:自分自身を知った上で、好きな事をとことん突き詰めて

 

Q:現在就職活動中の方や、これから就職活動を行う人へ何かアドバイスはありますか?

梢さん:自分自身が編集長になってみて、振られた仕事に対して前向きに取り組んでくれるガッツのある子と一緒に働きたいと感じます。「留学」とか「委員長」とか、一般的に「何か凄そう」みたいなことをする必要はなくて、自分自身が夢中になることを見つけてがむしゃらに打ち込むのが良いと思います。

彩さん:人と比べて、無理に世間一般で言われるような長所や強みを作るのではなく、自分の性質をまずしっかり知ることが大事だと思います。その性質のなかに、仕事に活かせる部分がきっとあると思うので。

Q:最後に千種生にひとことお願いします!
彩さん、梢さん:自由に使える時間は限られているので、学生時代に自分の好きなことをどんどん突き詰めてほしいです。


 ●編集後記

途中食事とお酒も入り終始ほぼ女子会でした。インタビュー終了後も二次会が行われ、人生相談や恋愛話もあり?とても有意義な時間となりました。平澤彩さん、梢さん、ありがとうございました。

※左からスタッフ野村、平澤彩さん(姉) 平澤梢さん(妹)、スタッフ宮地

平澤彩さん(姉)と平澤梢さん(妹)4

平澤梢さんが編集長を務める雑誌はこちら!
SPRiNG(宝島社刊)